不毛な恋の行方



26歳で大学時代から付き合っていた子と
結婚した。

ちゃんと好きだったし、
結婚したい、とも思ってた。


彼女も同じ気持ちで
結婚してからも幸せな毎日、



だと思ってた。




彼女の浮気を見つけてしまうまでは。



信じられない。
相手は職場の同僚で、
キスしてそのままホテルへ。

その姿に、一気に冷めた。
帰ってきたら普段の彼女。

これは、最近ではないな。
と思うとさらに冷静になっていく自分がいた。

式で永遠の愛を誓い合って、
まだ一年経っていないというのに。


「別れよう。」



嫌だ、と泣く彼女。

それでも俺の気持ちは変わらない。
浮気を伝えると、
彼女は諦めたのか、判をついた。



これが俺の結婚生活だった。








そんな俺の話を静かに聞く、恵理奈。


「はい、これが事実です。」

と、笑うと、
恵理奈は俺を抱きしめてくれた。


「…恵理奈?」


何も言わずに背中をさする彼女。

…泣いてる?


そっと腕を掴んで
表情を見ると、
「何で恵理奈が泣くの?」


「分からない。だけど涙が出てくるんです。
きっとすごく好きだったのに
その時の紘都さんはすごく辛かったはずなのに
泣かなかったでしょ?
そう思うと、勝手に涙が…」

ああ、彼女のこういうところが好きだ。

相手の気持ちに寄り添える。
上辺だけじゃなくて、
心から伝わってくる。


「恵理奈?泣かないで。
俺ね、別れて良かったと思ってる。
恵理奈に出会えたし、
今本当に幸せにしたいのは恵理奈だよ。」



「…紘都、さん。」






「だから、結婚して
早く俺の奥さんになってよ?」
< 22 / 25 >

この作品をシェア

pagetop