不毛な恋の行方




「…わたしでいいんですか?」


「恵理奈がいいんだって。
俺さ、恵理奈に付き合おうって言った時から
この子と結婚したい、って
思ってたからね。」


今までのモヤモヤが
全部流れていった気がする。

それほど彼の言葉には力がある。


「園田恵理奈さん。
俺と結婚して下さい。」


そう言って、ベッド横の引き出しから
小さな箱を取り出し
箱を開けると、そこにはキラキラの指輪。


「…一つだけ。聞いてもいいですか?」


どうぞ。と微笑む彼に、
勇気を出して聞いてみる。

「もう奥さんとは会ってませんか?
前に女性とお食事されてるのを見かけて。」

そうだった。
これを確認しないと。


「ん?いつだろ?
俺、恵理奈と付き合ってる間に
他の人と二人で
食事とか行ったことないけど。」


どこで見たの?とわたしの頭を撫でながら
話を聞く彼。

「あの、わたしも連れて行ってくれた
フレンチのお店です。」


「ああ!弟と弟の奥さんとの時じゃない?」

そうだそうだ、と笑い
「弟もいたんだけど。


そういうことか。
だから、あの店行った時
恵理奈の様子がおかしかったんだね。」



ちょうど席を外していたのだろうか。
それでも彼の言葉は信用できる。

「今度、恵理奈も会ってね?」

さらっと嬉しいことを言ってくれる。





「紘都さん。

わたし、妊娠しています。」

「うん、知ってるよ。」

「今、3ヶ月です。絶対産みたいです。」
「うん、ありがとう。一緒に育てよう。」

「わたしを紘都さんの
奥さんにして下さい。



この子のお父さんになって下さい。」

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