不毛な恋の行方



その言葉に彼はとびきりの笑顔を見せてくれ、
力強く抱きしめてくれた。


「恵理奈!絶対幸せにする。
ありがとう。俺を幸せにしてくれて。」


「…紘都さん、好きです。」

想いの丈が伝わってくる。


「俺も、愛してる。」





どうしてわたしのマンションに居たかというと
寺西さんから聞いていたらしい。

寺西さんはずっと付き合っていることに
気付いていたので
最近何かあったな、とは思っていたようで
彼からの相談に乗り、

今に至る。

だけど、必要最低限しか伝えておらず
お互いに話し合わなければならないことは
一つも伝えていなかった。
そう言うところが寺西さんらしい。

「寺西さんってすごいよね。
さすが、副社長の未来の奥さん。」


「え!?そうなんですか!?」

社長の息子さんが今副社長で
寺西さんの同期らしい。

知らなかった…。



「あと、退職願も俺が預かってるから。」

営業本部長に提出したものが
主任の耳に入り、
そこで止めたらしい。

「ちゃんと俺と恵理奈で話し合ってから
決めてもらおうと思って。」

そうやって考えてくれるのも
彼の優しさだ。

「…続けたいです。
迷惑かけるかもしれないけれど。」


「大丈夫!その為に俺がいるんでしょ?」



やっぱり彼は優しい。
すごく安心できてしまう。

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