不毛な恋の行方
それからしばらくして
両家に挨拶を済ませて
わたしは紘都さんと新居に引越しをして
新しい生活をスタートさせた。

紘都さんは元々奥さんと住んでいた家に
わたしを呼ぶのを躊躇っていた。
だからわたしの家で過ごすことばかりだった。

そして、周りの人は
自分がバツイチだということを知っていたし
もちろんわたしも
知ってると思っていたらしい。

わたしは他部署にいたし
結婚したことはみんなでお祝いをしたので
知っていたけれど
離婚のことまでは知らなかったのだ。


営業部には
結婚が決まってすぐ報告した。

みんな喜んでくれたし
体調もすごく気遣ってくれた。

そして、そんな紘都さんはと言うと、
元々優しくて暖かい性格だったけど
今は少し過保護すぎるお父さんみたい。


「もう!恵理奈は座ってて!」

「これくらい大丈夫だってば!」

「いいから!
俺が出来るんだから
任せたらいいんだよ!!」

仕事にも毎日車で一緒に出勤だ。
帰りは彼の方が遅い日もあるけれど
その時はすごく連絡をしてくる。

産まれてくるこの子も
きっと幸せになれる。

そんな安心感が彼から伝わってくる。

「ねえ、紘都さん。
ありがとう。



愛してます。」

急な告白に動きが止まる彼。

洗濯物の入ったカゴをその場に置いて、

「俺も。愛してる。
ありがとう。」

そう言って抱きしめてくれた。

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