不毛な恋の行方
夕方居酒屋に移動。
「かんぱーい!」
賑やかにスタートした飲み会。
わたしはまだまだ新人なので
注文したり、下げたり、
色々と気を配る。
「園田さーん、こっちおいでよー。」
呼ばれた方を見ると、都築さん達。
テーブルを見渡し、
落ち着いている様子だったので
都築さん達の方に向かった。
ぽんぽん、と都築さんが隣の席を譲ってくれ
ありがたく座らせて頂く。
「園田さん、営業慣れた?」
はい、お陰様で。と笑うと
「本当、癒されるわー。
俺ね、園田さんが外から帰った時に
お帰りなさい、って言ってくれるの
いつも楽しみにしてるんだよ。」
いや、これまじだよ!と
周りの人達が騒ぐ。
「そう言っていただけるだけで
ありがたいです!頑張ります!」
なんて言いながら、お酒が進む。
しばらくして
「ちょっとお手洗い行ってきます。」
と言って席を立ち、
またテーブルを見渡す。
グラスが空の人達のドリンクを聞いて注文し、
そのままお手洗いに行く。
お手洗いを出ると
壁にもたれてスマホをいじる主任。
かっこいいなー。なんて思いながら
通り過ぎようとすると
「園田さん、楽しめてる?」
と声を掛けてくれた。
「はい、楽しいです!」
「それならいいんだけど。
気使いすぎで疲れちゃうよ。
みんな酔ってるし、
適当に流して大丈夫だから。
それに、なんか園田さん見てると
こっちが心配になる。」
と、言ってくれた。
…心配?と頭の中でハテナを浮かべていると
笑って頭を撫でてくれる主任。
「可愛いからね、心配だよ。
誰かに持って帰られたりしないかね。」
と、素敵笑顔でわたしとの距離が
グッと近くなった。
距離の近さと言葉に驚き
顔が一気に赤くなるのが分かった。
「主任!からかわないで下さい!」
と言うと
「ごめんごめん。
だけど可愛いってのも
心配ってのも本当だよ。」
とわたしの頭をぽんぽんして、
みんなの輪の中に帰って行った。