不毛な恋の行方


…かっこいい。
わーー!!!と頭の中はパニック!
だけど嬉しい気持ちも大きくて、
顔の赤さを落ち着かせて
ぼーっと考える。

主任みたいな人、旦那さんだったら
幸せだろうなー。

と、見たことない主任の奥さんを
思い浮かべた。

と同時に、彼には奥さんがいることを
また思い出す。


だめだだめだ。憧れのままで。
この人は好きになってはだめだ。

自分に言い聞かせた。




それからしばらくして
宴会はお開きに。
二次会もあるみたいだけど
今日は帰ることにした。

残念がる都築さんが「駅まで送るよ。」と
言ってくれたけど、
丁重にお断りしようとすると、

「俺も今日は帰るから
駅まで送ってくわ。
都築はもう一軒行ってこい。
あんまり飲みすぎんなよ。」

と、サラッと言ってのける主任。

「お二人共ありがとうございます!
だけど大丈夫です!」

「何言ってんの。女の子でしょ。
充分危ないから。
こんな時は甘えて、
送ってもらえばいいんだよ。」
なんて言う、
素敵な笑顔の主任に甘えることにした。


「ありがとうございます。」







そのまま二人で電車に乗った。
今まで気付かなかったけど、
同じ線で最寄りも近い。

二人でこんなに話したことはなかったけど
やっぱり素敵。

ますます惹かれてしまう。


「へー、園田さんも好きなんだ。」

「はい!主任もですか?」

「俺はね、最近。面白いよね。」

まさかの共通の趣味。
好きな小説家が同じだった。
心の中でガッツポーズをした。


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