不毛な恋の行方


それから食事に行き、
貸した本の話をしたり、
主任のたわいもない話を聞いたり。


楽しかった。


また行こう。
そう言ってくれた。



その後も何度か
仕事帰りに飲みに行くことが
多くなった。

嬉しい反面、
ふと過ぎる奥さんの存在。


それでも側にいると
どんどん惹かれてしまう。


これは完全に好きだ。





そんなある日。
いつものように一緒に飲んで
帰り道を歩く。

「ね、園田さん。好きだよ。
俺と付き合ってくれない?」


まさかの言葉に固まる。



嬉しい。



だけど奥さんは?




「…えっと、」


「ごめん!迷惑だった?忘れて!!」

主任の言葉に

「迷惑なんて!そんなことないです!!

…嬉しいです。」


「じゃあ、付き合ってくれる?」


いいのだろうか、この一線を越えてしまって。

それでも心は彼を求めている。





「はい。」

「ありがとう。
あ、だけどみんなには内緒にしよう。」

彼の提案に少し戸惑ったけれど
奥さんが居る身。

当たり前だ。

不倫…か。

いけないことだと分かっている。
でも今求めてくれている彼の手を
わたしから離すことはできない。
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