不毛な恋の行方



ある土曜日。

今日は友達と買い物をした。

そんな時も
紘都さんに少しでも
可愛いと思ってもらいたい。

なんて、ずっと脳裏に過ぎる。




「何食べよっか。」
と、歩いていると、一軒のイタリアンのお店。

少しお高い感じの雰囲気で
ここはちがうなーと
他のお店に目を向けようとすると、








…彼だ。

気付いてしまった。

テーブル席には彼。


そして向かいに座る女性は
わたしからは背中しか見えないけれど
髪の長い綺麗な雰囲気。


その女性に向かって
優しそうに微笑む彼。


そうだ、、、
彼には家庭がある。


普段一緒にいると
愛されていると錯覚してしまう。
わたしだけだと、勘違いしてしまう。



現実を目の当たりにして立ち尽くす。


「恵理奈?」

心配そうに顔を覗き込む友達の姿に我に帰る。


「あ!ごめん!
知り合いに似てるなーと思って。
気のせいだった!ごめんね!行こっか!」



誤魔化し、その場を立ち去るが
それでも脳裏に焼きつく情景。




そうだ、彼には奥さんがいる。
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