恋人未満のこじらせ愛
二人の関係と距離感
カーテンの隙間から漏れてくる光で目が覚めた。
私はごろんと寝返りをうって、斜め上の壁を見つめる。

ぼんやりとした視界から、辛うじて壁時計だと認識するものが見える。数秒眺めていると、ピントが徐々に時計に合い始めてきた。


その時計が指していたのは、朝の八時。
まぁ妥当な時間だろう。


私は隣で寝ている人物を起こさぬように、ベッドからするっと抜け出す。
そして散らばっている服の中から、私の服をピックして身に付けていく。

「ガタン」
途中で物音が鳴り、飛び上がりそうになるぐらい震える。
恐る恐るベッドに目をやると、寝返りの反動で掛け布団が落ちそうになっている。
顔を近づけて寝息を立てているのを確認すると、掛け布団を丁寧にかけ直してあげた。


スヤスヤと眠る彼の顔。長い睫毛に寝顔からでもわかる、整った顔立ち。
心がズキズキ痛むけれど、私は服を着る作業に戻る。


服を着終わると、かばんと棚の上にあるキーケースをひったくるように持って、部屋を後にする。
恐らく昼まで起きないだろうが、念には念を入れてスローモーションで鍵をかける。
そしてそのままポストに鍵を突っ込んで、足早にその場を後にした。
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