恋人未満のこじらせ愛
「ちょっ……痛い!」


歯を立てられ、キリキリとした痛みが走る。

「言うまでやる。明日、誰と何処に行くんだ?」


一度唇を離して、次はもっと下の鎖骨付近に顔をうずめる。
そしてもう一度肌が裂かれるような痛みが走る。

痛みに顔が歪み、ボロボロと涙が零れる。

「石見君に『明日デートしましょう』と誘われました…。銀座方面に行って……っ…去年できたショッピングセンターにも行く予定です……」


彼は唇を離して、顔を覗きこむ。
鋭く見つめる目に、余計に恐怖を感じる

「何でオッケーしたんだ?!」

「何で断らなきゃいけないんですか!?」

「好きなのか?石見を?」

「なれるかも知れないじゃ……」

言い終わるより前に、唇が塞がれる。
いつもの、あの唇で。


「俺でいいじゃない?駄目なの?」

言ってる意味が、わからない。

「俺じゃ不満?どこが不満なの?」

流れる涙は止まらない。

不満もなにも…。
だってあなたは私を愛してくれるわけじゃない。
寂しさを埋めてくれるだけ。
それだけで全てが満たされるほど…私は強くない。それに気付いてしまっただけ。
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