恋人未満のこじらせ愛
黙っても誰かが寄ってくるような容姿をしていて…甘い言葉を言うのも得意で…。頭も良くて仕事もできて…。
誰からも愛を貰えて不自由しない、あなたにはわからない。

「私はたった一人でいいから愛されたいの!
『好きだよ』とか『ずっと一緒に居て』とか…たった一人の一番になりたいの!
あなたにはわからない。何も不自由したことない、あなたにはわからない!」

「じゃぁお前にとって、俺は何?」

「それは私が言いたい!
断れないのを盾に押し切って、都合のいい時だけ相手にして……それで満足でしょ?
そんなに私のことを妨害して楽しい?自分の都合で振り回せなくなるものね?違う?」

「理緒!」
「やだっ!!」

もう一度手が近付いてくるが、次は全体重をかばんにぶつける。
怯んだ隙をついて、走ってその場から逃げる。


ドアを開けて、エレベーターまで走る。
ボタンを押すと数秒でエレベーターは到着する。
乗り込み一階を押すと、止まることなく動き始めた。
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