恋人未満のこじらせ愛
家の最寄り駅に着く頃には、涙が大分引いていた。
それでもみすぼらしい顔なのには変わりがないので、早足で家路につく。

家に着くと一目散に洗面所へと駆け込んで、顔を洗う。
鏡を見るとそこには、瞼がはれたみっともない姿。
少しでも腫れが引くことを願って、温水と冷水を交互にかける。

「あっ………」
数回繰り返して鏡を見ると…首元に気付いた。
昨日、そうだ。首元と鎖骨付近に……。
案の定、鎖骨付近にもあの跡は赤黒く体に残っていた。

どうしよう。今からじゃどうやっても消せない。
顔をタオルで拭いて、慌ててクローゼットの前に立ち、中をひっくり返す。

確か……やっぱりあった。
上品なフリルがあしらわれていて、すごく見た目は好みなプチハイネックの白いブラウス。
ただやっぱり襟元が詰まるので、苦しくてあまり着ていなかった。
これなら大丈夫。隠れそうだ。
< 114 / 170 >

この作品をシェア

pagetop