恋人未満のこじらせ愛
習慣とは不思議なもので、どれだけ疲れ果てていてもいつものアラーム音が鳴ると目覚めてしまう。
ピピピッピピピッと繰り返し鳴る音を止めると、のそのそベッドから起き上がる。
数時間の睡眠時間だが、眠りが深かったおかげか大分頭がすっきりとしている。

そのままシャワーを浴びて、化粧をする。
瞼の腫れぼったい感じは大分引いたが、やっぱり化粧ノリはあまり良くない。
無理矢理化粧水を肌に叩き込んで、コンシーラーで丁寧に隈を消す。
当然いつもより時間がかかってしまい、バタバタしながら急ぎ足で家を出た。

何とか予定時刻の電車には乗れて、念のために携帯の乗り換え案内で出した到着時間は12時43分になっていた。
石見君に『12：43分に到着みたいです。よろしく』と送ると、すかさず『了解しました！』と返信がくる。

今日は……石見君とデートだ。
無理矢理気持ちを切り替えるように、車窓にうつる自分ににっこりと笑いかけてみる。

大丈夫だ、いつもと変わらない。
彼のことは忘れて、今日は楽しもう。
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