恋人未満のこじらせ愛
予定していた通り、カジュアルなイタリアンのお店で昼食をとる。
木のテーブルと椅子に、白のレンガ調の壁に暖かみのあるライト。
ここなら背伸びしなくても、これからも気軽に来れそうな場所だ。

散々迷って、二人でパスタのランチセットを頼んだ。
お値段は千円とお手頃だが、味はかなり美味しい。


「どうですか?お口に合いますか?」
少し心配そうに、石見君が聞いてくる。

「うん、めちゃくちゃ美味しい!これでこの値段は手頃だね!」
朝に何も食べてなかったこともあってか、どんどんと食が進む。
石見君も安心したみたいで、ホッとした表情だ。

「正直、この辺って来てもチェーン店にしか行かないんだよね。ファミレスとかハンバーガーとかさ」

「まぁ…不自由しない程度にはありますからね」

「そもそもあんまり来る機会がないんだよね。何か敷居が高いっていうか…」
一応生まれは都内だが、未だにこの辺りはよっぽどの用事ではない限り来ることはない。
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