恋人未満のこじらせ愛
昼食を取った後は、石見君の先導でアンテナショップを巡った。
石見君は『母親が九州の出身』だそうで、そっち方面の名産物や郷土料理に詳しいみたいだ。
色々オススメを聞きながら、店内を色々と物色する。

「これ、特にオススメですよ!」
石見君が指差したのは、安納芋のお菓子だ。

「確かにおいしそう」

「買いますか?自分もお土産に買ってきますんで」

「うん、買おうかな。おやつにちょうど良さそう」

「じゃぁ買ってきますね。高いものじゃないんで払いますよ」
いやいや…と言おうとしたが、石見君はさっさと会計の方へ行ってしまった。

まぁそんなに値段も高くないものだし、負担にはならないか…と思いながらも、何かお返しをしなきゃいけないなとも考える。

ふらふらと店内を回っていると、「お待たせしました」と石見君が戻ってきた。
「本当にありがとう」と言って、私はお菓子の袋を受け取る。
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