恋人未満のこじらせ愛
「あと……これも受け取ってください」

石見君から渡された小さな包みを開けると…ヘアゴムだ。
切子硝子がキラキラと輝いているヘアゴム。
青の淡いグラデーションが、とても美しい。

「菅原さんにぴったりだなと思って…是非とも受け取ってください」

「そんな…高かったでしょ?いいの?」
確かちらっと見たが…随分お高い値段だった気がする。

「はい!菅原さんに受け取って欲しいんです」

真剣に私を見つめる石見君。
さすがに……ここで、返すのは気が引ける。

「ありがとう」
私は受け取ると、早速髪の毛を結ぶ。
別に結べないほど短くはないが、敢えて結ぶほどではない長さ。
一つにまとめ上げると、大分首周りがすっきりとした。

「ありがとう、大切にするね。
でも私も…何かプレゼントさせて!ねっ!
時計とか、財布とか!」
さすがにこんな高価な物を貰いっぱなしでは気が引けっぱなしだ。

「うーんと……じゃぁ、定期入れ、にしようかな…。
大学の頃から使ってるから、大分くたびれてるんですよね……」

「わかった。じゃぁ雑貨屋行こうか。選ばせて」
「ええ、楽しみにしてます」
にっこりとはにかむ笑顔の石見君。
ようやくお返しができると、ほんの少し心の中でホッとしていた。
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