恋人未満のこじらせ愛
石見君は聞いて、なぜだが動きが止まった。
「どうしたの?」と聞くと、「同じなんですね」と言う。

「課長も前に、同じことを言ってました」

「課長も?」

「ええ」と言って、再び歩き始める石見君。

「『街を作るって、生活の一部を作ることだからな』って。
『だからその生活の中で、覚めない夢を見させてあげたいんだ』って、そう言ってましたよ」


何と言うか、物凄く「課長らしい言葉だね」と思った。

「『覚めない夢を見せてあげたい』ってあの人らしい言葉……」
すごく、言いそうな言葉だ。


「菅原さん、聞いていいですか?」

「何?」と聞くと、再び石見君は立ち止まった。

「課長と…過去に何かあったんですか?」

「何でそう思ったの?」

「何か……ただの先輩後輩じゃない気がしていて…」

「そりゃ大学の二年間はずっと一緒に居たし」

「何か…それだけじゃない気がしてます。二人の空気が、何か…うまく説明できないけど、違うんですよ……。
俺が菅原さんのことを見ているからかも知れませんけど……」

さすがに、石見君は誤魔化せないか。
< 130 / 170 >

この作品をシェア

pagetop