恋人未満のこじらせ愛
「あれ？何か着信ですか？出ても……」
「いや、いい。大した用じゃないし」

かばんに蓋をして、にっこりと石見君を見た。
だけど……石見君は、複雑そうな顔をしている。


「菅原さん、一つ聞いていいですか？」

「何？」

「課長のこと、どう思ってるんですか？」

……何という悪いタイミング。

「別に。課長は課長だよ」
私にとっては『そういう人』であって、それ以上でもそれ以下でもない。

「でも、俺は……課長と菅原さんはお似合いだなって、すごく思ってるんですけど…」

「似合わないよ、私なんかじゃ」
彼の隣に居るべき人は─きっと、目を見張るような美人でないと。
確かに浮気されたんだろうけど…亜弥子先輩のような、誰もが驚くような、美人が似合う。

「自分の身の程はわきまえてるよ。私じゃ役不足でしょ」
私がそんな人達に勝てるとは、到底思ってもいない。
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