恋人未満のこじらせ愛
でも、石見君は腑に落ちない顔をしている。

「まぁ菅原さんが…『モデルのような美人か?』って言われたらそうじゃないですけど…
でも、普通に可愛い人だし、仕事もできるし…課長に噛みついて言い合えるのは菅原さんぐらいですよ」

「そりゃ言い合えるのは、過去に色々あったからでしょう?」

「まぁそりゃそうですけど………」

それでもまだ、腑に落ちない顔をしている。

「じゃぁ菅原さん。もし過去に色々無かったとして……例えば、課長と出会ったのが『今』だとしたら?」

「ごめん、言ってる意味がわからない」
そんなこと言われても…。

「まぁそれだったら…『良き部下』に徹しているんじゃないかな。
そもそも課長はうちの会社の出世頭で、エリートの一人で…結婚狙ってる人は沢山いるよね。
さすがにそこを敵に回す勇気はないよ」

「まぁそうですけど…」とまだ苦い顔をしている石見君。
「いや……でも…………」と言いかけて、言葉を詰まらせている。

沈黙が続くので「何?!」と少し強い口調で言うと──ようやく石見君は口を開く。



「課長は、菅原さんのことが好きですよね?」


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