恋人未満のこじらせ愛
こじらせ組の行方
すっかりと眠りこんでいた、真夜中。
フワッと何かの感触がして目が覚めた。
目を開けると、彼の顔がそこにある。
柔らかく笑って、私の頭を撫でている。
「おいで」と言って私を抱き寄せると、すっぽりと頭は胸の中に収まって…頬から肌の柔らかい感触がつたう。
「……そう言えば思い出したんですけど」
「何?」
「大昔に…毛塚先輩と付き合い始めた時なんですが」
もう何年も前、大学一年の時だった。
「サークルの部屋でさ、『二人付き合い始めたの?』って聞かれて『うん』って言った時……一瞬何か表情が歪んだ気がしていた」
「あぁ、バレてたか」
抱き寄せた手が頭に伸びて、優しく撫でられる。
「まぁ亜弥子を裏切る気は無かったからな……。ただつまらねぇって思ったのはホント」
「そうだったのか」
「『あの日』な…最後に言われたのが…『あなたは理緒ちゃんがお気に入りだしね?』だったな」
「そうなんだ…」
「ま、それなりに大切にしてたつもりだったんだけどな…。結局俺は、口が良くて調子が良いヤツに彼女を取られたわけだ」