恋人未満のこじらせ愛
冷房が効いているが、湿度が高い室内。
更に湿った、肌の感触。

──なぜだろう。すごく、落ち着く。


再び眠りの世界に落ちようとしていたが、もぞもぞと隣が動き始めた。
そしてそっと、頬に唇が落ちてくる。

目を開けると、優しく微笑む彼の顔。

「おはよう」
大きな手が、頭をそっと撫でていく。

「良かった……夢じゃないな」
手が頭を滑るように落ちて行き、首筋で止まる。
そして人差し指だけを、いやらしく肌に沿わせてゆく。

沿わせる指は、更に下─胸のふくらみ付近にまでくる。
その指先にあるものは、昨日の跡。昨日散々付けられた跡だ。

自分で確認できるだけでも、何ヵ所もある。
きっと見えない所にも沢山あるに違いない。

以外とこの人は独占欲も強いのかもしれない。
傷付きやすくてヤキモチ妬き。独占欲も強い。


そんなめんどくさい人物が……私は大好きらしい。

昨日から彼は、私を甘やかすことを止めない。
常に腕の内側か、胸の中に居させようとする。

──甘いなぁ。

また私は大きな胸の中に収まって、その甘さを噛み締めるように目を閉じた。

ずっと来ることがなかった、二人で迎える朝。
こんなにも甘いなんて…私はずっと勿体無いことをしていたのかも知れないと、今更思っていた。
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