恋人未満のこじらせ愛
しゃがんで引き戸の隙間から、チラッと玄関方向を覗くと……

「えっ?!」


「あーおはよー!!」

私に気付いて、笑顔で手を降る人物は。

「伊藤、さん………?」

ということは……?

「というわけでおじゃましますー」

何とか阻止しようとする智也さんを振り切って入ってくる人物は、勿論…江浪さんである。
二人はずかずかと入ってきて、伊藤さんは目の前の引き戸を開けた。

「菅原さんおはよー!どう?調子は?」

調子はどう?と言われても…。
ベッドの辺りには脱ぎ捨てられた服があり、私は大きめのTシャツ姿…これが俗に言う彼シャツか?
おまけに首にはボコボコ付けられたキスマーク………。

いかにも『イタしました』あとの姿を見られるって……。行為を見られるぐらいの恥ずかしさで、固まり動けない。

伊藤さんはそんなのはどこ吹く風で「じゃ、準備できたらこっち来てねー」と言って引き戸を閉める。

ギャーギャー言い合っている三人の声が聞こえるが…とりあえず辺りを片付けて、身だしなみを整えることにした。
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