恋人未満のこじらせ愛
そして、ついに確信する言葉が彼から出てきた。

「イヴにバイトが入った。ごめん、会えない」と。

去年のイヴは確かにバイトが入っていたけれど、バイトが終わった後は彼のアパートで一緒に過ごしていた。
二人でそのまま朝まで映画を見て、語り合って過ごしていたのだ。


その時──私は瞬時にこう思った。
「きっと彼は、私のほかにイヴを過ごしたい人が居る」のだと。



解明するには手っ取り早く携帯を見ることだろうけど、そんな勇気はない。
第一わからないように細工をしている可能性が高いだろうし。


だから私は、今思っても大胆な行動に出た。
当日の現場を押さえることにしたのだ。


イヴの当日、彼のバイト先の目の前の店で彼が退勤するのを見張った。
予想通り夜の十一時、彼が退勤して店から出てくるのを確認。


足早に歩いていく彼を見失わぬよう、気づかれぬように注意を払いながら、後をつける。


そして駅の入り口で立ち止まり、手を振った先に居たのは…


「亜弥子…先輩………?」


私が見間違えるわけなどないだろう。
二年間、ずっと見てきた顔だ。


一緒に居たのは紛れもない、亜弥子先輩だった。
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