恋人未満のこじらせ愛
江浪さんは平然とした顔をして
「いや、だってさぁ、大村が菅原さん好きなのなんか、ずっと前から知ってたし」と。
……あれ、ずっと前?

「だよねぇ。ていうか、何で二人付き合ってないの?って思ってたよ」

ん……?と思い、智也さんを見ると─唖然とした表情をしている。

「あの、江浪さん……いつから?」

いつからこの人は…智也さんが私を好きなことを知っていたんだ?

「いつからって……五月には気付いてたけど?」
えっ?と驚きもう一度智也さんを見ると……さっきよりも固まった表情。まるで石膏だ。

「あのさぁ菅原さん、俺さぁ一応はっきりした肩書き無いけど、部内では主幹的な位置にいるんだけど?」
「勿論、存じております」
仮にも元同じ部だ。部長より権力あるしこの人。

「個人の仕事量とか調整できるし『この人はこれぐらいに終わりそう』っていうのもある程度予測できるんだけど?」
「勿論、存じております……」

「じゃぁ何で金曜日、大村と一緒に帰れたのかなー?何で終わる時間把握できてたと思う?」

えっ……と驚きまた隣を見ると──砕け散りそうな表情だ…。

「まぁ俺はさりげなーく『経理部これぐらいにはみんな帰せそう』って伝えてただけだけどねー。みんな帰せそうっていう時間って=菅原さんの帰る時間じゃん?菅原さんと佐々木さんの最後まで居残り組のね。その時間は仕事量で調整すればいいんだし」
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