恋人未満のこじらせ愛
江浪さんと伊藤さんが帰り、嵐が去ったような静けさになる。

「……とりあえず、食うか」
残されたのは、テーブルに置かれたパンだけ。
とりあえず二人で残されたパンを食べることにする。
ひたすら無言でパンをかじるが、何だか……すごく、気まずい。

「あの………」
「あと一年半かー、長いよな……」
私が言うより前に、ボソッと呟く智也さん。

「多分、次は……営業企画あたりだとは思う。移動先は」
やっぱりこの人は、将来のビジョンをちゃんと見据えているらしい。

「その前に、理緒を広報のトップまで持っていきたいけどな。
どうしても俺と付き合ってることがバレると…色眼鏡で見られることは多いと思う」

「じゃぁ隠し通せばいいじゃないですか?」

「そんな簡単に言うな。お前を狙ってる奴…蹴散らすのにどんだけ労力がいると思っている?」

「何?そんなに私に信用がないとか?」

「いや……そうじゃないけど…………」

何だか難しい表情をしながら、眉間に皺を寄せている。
そしてため息をついて、またパンをかじり始めた。
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