恋人未満のこじらせ愛

江浪さんの目は宙を泳いでいる、が数秒後にはカチッとスイッチが入ったように「うーん…」と唸り始める。
どうやらこの状況を察してくれた、らしい？（と信じている）

「うーん……うちの会社のメンバーじゃダメ？」

「真面目で！堅実そうな人なら！！」

「うーん……どういうのがタイプ？」

「見た目には拘りません！強いて言うなら……野間口徹さんみたいなのがタイプです！」
思わず「ブッ」と吹き出す私と頭にハテナマークを浮かべた江浪さん。

「……六島さん、マジで？本気？」
「ひどい菅原ちゃん！私めちゃくちゃ好きなんだけど！！」

相変わらず頭にハテナマークを浮かべたままの江浪さんに、携帯で「野間口徹」を画像検索して見せてみる。

「………マジで？」
そりゃそうだ。
栗色の巻き毛をして、どちらかと言うとギャル系に近い彼女のタイプは…言わば『名バイプレイヤー』の異名を持つ、正直地味に徹している人、らしい。

「………友達にそっくりな奴、居るわ」
「本当ですか！」
目を輝かせる彼女。どうやら本気でタイプらしい…。