恋人未満のこじらせ愛

「えっと…そいつは鉄道会社に勤務で、本人もかなりのマニアだけど」

「鉄道会社！安定してるじゃないですか！
是非とも彼女居ないなら紹介してください！！」

必死の血相で頭を下げる六島さん。
やばい、周りの目線が突き刺さる……。

「お…おう……わかったから………ね？」

しかしまぁ、彼女のタイプが地味で堅実な人なのは正直以外で…その彼女のお目にかかった既婚者の合コン相手が正直気になる所ではあるが。

顔を上げた彼女は、本当に『うぉっしゃー！』と声が聞こえてきそうな程燃えている。

「とりあえず…出勤しましょうか………」
ちょうどエレベーターが来たので指差すと、三人とも足早に駆け出して乗り込んだ。
ちょうどタイミングが良く、エレベーターは三人だけ。

「六島さん…だっけ？本当に地味でオタクな子だけど大丈夫……？」
「ぜっん然大丈夫です！むしろどんと来いです！」

思わず江浪さんと顔を見合わせて『まじか…』と無言のやり取り。

「だって私も……ほら、こんな感じですから！私の作品！」
そう言って取り出した携帯の画面には…なんと精巧なジオラマの風景が広がっている。
和風の建築模型。昭和の市街地のような感じのもの。