恋人未満のこじらせ愛
そりゃそうだ。
昨日は朝からずっと起きていたし、昨日も寝るのが遅かった。
いつも休日は昼に起きる彼が、朝の九時には起きて…しかもいつもは夜の十二時には寝ているそうだが、十二時半を越えても粘っていた。
私が帰ろうとすると「何で帰るの?」とニコニコしながら帰り道を塞がれる。
昨日はこれの繰り返しで、おかげて寝落ちした後に深夜一時の終電で帰宅するハメになってしまった。

「これが噂の寝起きの悪さ」と六島さんに耳打ちすると、ギラッとした視線が飛んで来る。
サーと一気に血の気が低く六島さんと、またかと諦め気味の私。


「……ごめん、捨ててくるわ」
時間は始業時間十分前。
食べ終わったパンの袋を捨てるため、給湯室に向かった。
そして給湯室の『燃えないゴミ』に袋を放り込んで、置いてある自分のタンブラーを手にしてコーヒーを入れようとする、と『ガンっ』と何かがシンクに叩きつける音がする。

「げっ………」
振り向くと……課長だ。
相変わらず不機嫌な顔で、私にマグカップを差し出す。
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