恋人未満のこじらせ愛
凍りつく私と、目を丸くして驚いている大村先輩。

「あれ…？大村、知り合い……？」
私達を見て驚く江浪さん。


知り合いもなにも…
「大学のサークルの後輩」

であり当時の彼女の浮気相手の彼女であって一緒に寝た仲、なんてことは絶対言えないだろう。


「久しぶりだな、菅原。元気だったか？」

「えぇ、大村先輩も元気そうで」

そう言うと「そうでもないよ」と少し口角を上げる。
昔のままの笑顔。ドキリと胸が音を立てる。
何も知らない江浪さんは「何だ、感動の再会か」なんて言って笑っていた。

「大村座れよ。これから一緒に働くんだから。
この二人は経理のメンバーだから、まぁ関わりあるだろうからよろしくな」

「大村さん、経理の佐々木ですよろしく。私は沙絵の同期だから、何か二人がうっとおしかったらいつでも言ってね」

「いやぁ奥さんは問題ないでしょう。江浪はちょっと…だけど」

「まぁ言えてる」

「何？！俺が何だって？！」

「いや、何でもない…」


そんなやり取りを見ながら、私と伊藤さんはクスクス笑っていた。



思えばこの日、伊藤さんは「何か気分じゃない」とお酒を飲んでいなかった。
まぁつまり、兆候があったんだろうなと今になって思う。
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