恋人未満のこじらせ愛
案内された部屋は、二階の一番隅の角部屋。
中は少し広めの1Dkだ。

「まだ片付いてないから」
そう言った通り、まだ段ボールの山がそこら中に積まれている。

「土日で終わればいいんだけど」と言って、冷蔵庫からビールを出して渡す。
冷蔵庫は学生時代の時と同じ。

座る場所に困っていたら「座れよ」とベッドを叩く。
仕方がないので二人で並んでベッドに座った。


「菅原さ、三年でサークル辞めたのか?リョウから全然話聞かなかったけど…」
リョウくんはうちらの代のサークル長だった子だ。

「キャンパス変わって…あんまり行かなくなって、そのままって感じです…」

「まぁ大抵キャンパス移動組はそうなるわな」と、大村先輩はビールをグビグビ飲んだ。

「江浪から『菅原って子がいて…』て聞く特徴を聞いて、まさかとは思っていたけど」

「私はそういえばちゃんと先輩の就職先、聞いてなかったなって…」

そう言うと先輩は困ったよう笑った。
「ひでーなおい」と呟いて、クスクスと肩をすくめる。

それはずっと前に見た─あの時から変わらない笑顔だった。
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