恋人未満のこじらせ愛
それから週が明けても、特に何も追及されることはなかった。
月曜日が来ると普通に出社し、仕事をする。
挨拶回りで大村先輩が来たが、私に触れることはなく終わった。
江浪さんも佐々木さんも特には深く聞かなかったし、あのことは闇に葬ることに決めた。
あれは一時の懐かしさと気の迷いであって、もう二度と無いだろう。
第一あまり顔を合わせないので、何もなかったフリをしていれば…自然に水に流れて行くだろう。
それが一番だと、また毎日の淡々とした業務をこなす毎日が始まった。
経理のシステムから勤怠管理を覗くと、大村先輩はいつも九時や十時の退勤になっていた。
まだ移動して早々なのに、随分と忙しいんだな。
睡眠時間の確保は大変だろうなと少し心配にはなったけれど、お陰で顔を合わせることはない。
そのまま金曜日になり、私はいつも通りに定時を少し過ぎて退社しようとした。
経理の部屋を出て受付を通過しようとすると─目に入ったのは、江浪さんと大村先輩。
受付横の来客スペース&ミーティングスペースで、二人が話している。
さすがにそのまま通過するのは失礼だろうと「お先に失礼しますね」と声をかける。
するとなぜが、大村先輩が立ち上がる。
「俺も今日は上がりだし、一緒に帰ろうか」