恋人未満のこじらせ愛
「どうしたんですか?」
石見君が変化に気付いたらしく、私のパソコンを覗く。

「何かパスワード認証されなくて…」


「菅原、違うぞ」
ふと頭にずしりと重みを感じる。

「うちのサーバーは3だ。経理は1だけど」

「ありがとうございます……って重いです………」

のし掛かる腕を払いのけて、私は大村課長をギッと睨む。


「菅原、前にもあったよな。大学のメール設定できなくて泣きついていた…」
「あれ聞いてたんですね。でもあれは大学側がID間違えて………」

ふと後ろから視線を感じ、言いたいことを打ち切って視線をパソコンに戻す。

後ろからじーっと私を見つめているのは─六島さんだ。
六島実加。私と同期の女の子。
言っちゃ悪いが、私とは少し違うタイプであまり話さない。
キリッとしたアイラインに緩くカールがかかった栗色の髪の毛。見た目は少し派手な印象で…何だか苦手な雰囲気を感じる。


やばいな。目を付けられたか。
とりあえず何事もないように祈りながら、パソコンの設定に戻る。


案の定、メールサーバーを3に設定すると問題なくメールは受信を始めていた。
なんだか少し悔しいのは気のせいだろうか。
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