恋人未満のこじらせ愛
呼び方がつまらん…?
「課長は課長じゃないですか」
いや、そうだろう。それ以外に何がある。
「でもすぐに課長呼びが板に付くとは。
てっきりミスるかと思って期待していたんだが…」
「趣味、悪……」
つまり間違えたらイビる予定だったのか、この人。
はぁとため息をつくわたしを、クスりと笑う課長。
「プライベートでは『課長』はやめてくれ。気が休まらん」
「……じゃ、大村先輩」
「も何だかなぁ……」
じゃぁなんと呼べと?
「下の名前、覚えてる?俺の名前」
「智也でしょう?なぜ忘れ…」
「それでいい」
「はい?!」
「それで呼んで?」
「…智也……さん………?」
そう呼ぶと顔をほころばせて「よくできました」言う。
あぁ、だめだ。この人ズルいわ。
そんな顔されると女子の90%以上は落ちる。確実に。
揺れ動く私の心を差し置いて、課長…いや、智也さんは「ラーメン屋そこだ」と指さし、どれを頼むか聞いてくる。
「つけ麺がおすすめだけど、豚骨醤油も捨てがたい」
私の心とは正反対に、淡々とラーメンの説明をしている。
ほころばせたさっきまでの表情は、どこか遠くに消えてしまった。
──いつまで経っても、この人の本心が見えない。
どうして今更、名前で呼ばせるんだろう。
私の「止めよう」と言った答えは?
いつもこの人は、核心に触れさせてくれない。
「課長は課長じゃないですか」
いや、そうだろう。それ以外に何がある。
「でもすぐに課長呼びが板に付くとは。
てっきりミスるかと思って期待していたんだが…」
「趣味、悪……」
つまり間違えたらイビる予定だったのか、この人。
はぁとため息をつくわたしを、クスりと笑う課長。
「プライベートでは『課長』はやめてくれ。気が休まらん」
「……じゃ、大村先輩」
「も何だかなぁ……」
じゃぁなんと呼べと?
「下の名前、覚えてる?俺の名前」
「智也でしょう?なぜ忘れ…」
「それでいい」
「はい?!」
「それで呼んで?」
「…智也……さん………?」
そう呼ぶと顔をほころばせて「よくできました」言う。
あぁ、だめだ。この人ズルいわ。
そんな顔されると女子の90%以上は落ちる。確実に。
揺れ動く私の心を差し置いて、課長…いや、智也さんは「ラーメン屋そこだ」と指さし、どれを頼むか聞いてくる。
「つけ麺がおすすめだけど、豚骨醤油も捨てがたい」
私の心とは正反対に、淡々とラーメンの説明をしている。
ほころばせたさっきまでの表情は、どこか遠くに消えてしまった。
──いつまで経っても、この人の本心が見えない。
どうして今更、名前で呼ばせるんだろう。
私の「止めよう」と言った答えは?
いつもこの人は、核心に触れさせてくれない。