恋人未満のこじらせ愛
なんというか、イマイチ煮え切らないまま私達はラーメンを食べて電車に乗り池袋へ向かう。
行き先は勿論、駅に程近くのたまに来るミニシアター。

そこで夜の十一時から始発が動いている時間まで、オールナイトの上映を見る。
今日のラインナップは、小さい頃に見せられてきた映画ばかり。(今思えば絶対に教育に悪いな……)

たまにくる眠気は、胃にコーラを流し込んで追いやる。
課長…いや、智也さんは眠気の欠片も見せずにひたすら黙々と見ている。やはり好きなんだな。


最後の方は半分夢の中であったが、三本上映が終わり朝の六時近い時間になっていた。
外に出ると、早朝独自の空気と爽やかな朝の青空が広がっている。


「じゃぁ始発動いてるんで」
もうとっくに始発が出ている時間。
電車で帰ろうと、私は駅方向を指差した。

「いや、めんどくさい。タクシー捕まえる」

「じゃぁ私は電車…」
「連れて帰って。眠い」

はぁーっと大きな欠伸をして、私の肩にもたれ掛かる智也さん。
さっきまでの眠気の欠片もないあの表情はどこ行った。

仕方なしにタクシー乗り場まで引きずって行く。

『とりあえず送っていくだけ』

そう言い聞かせて、停車しているタクシーに乗り込んだ。
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