恋人未満のこじらせ愛
そして二十分もしないうちに、タクシーはあのマンションの前に到着する。
タクシーから降りると「はい、開けて」と鍵を差し出される。
仕方なしに階段を上がり、部屋の前まで引っ張っていく。
そしてキーケースから鍵を取り出し、鍵を開けて智也さんを部屋の中に押し込んだ。
「スーツ、かけて」
智也さんはそそくさ中に入り、もうベッドに座っている。
私は上がらず帰る予定で玄関に立っていたが、仕方なく靴を脱いで上がった。
そのまま無言で脱いだ上着を受け取り、そこにあるパイプハンガーにかる。
「ネクタイ外して」
自分でやれと言いたくなるが、眠そうに欠伸をしている姿をなぜか放っておけない。
私は前に座って、ネクタイを緩める。
「ねぇ」
不意に彼の右手が──私の手を掴んだ。
「何で止めたいの?俺のこと、嫌い?」
真っ直ぐに私を見つめる瞳。
思わず振り払って逃げたくなるのを、ぐっとこらえる。
「………だって、あなたは課ちょ…」
「違うと言っただろ?」
反対の手で、私の口を塞ぐ。
タクシーから降りると「はい、開けて」と鍵を差し出される。
仕方なしに階段を上がり、部屋の前まで引っ張っていく。
そしてキーケースから鍵を取り出し、鍵を開けて智也さんを部屋の中に押し込んだ。
「スーツ、かけて」
智也さんはそそくさ中に入り、もうベッドに座っている。
私は上がらず帰る予定で玄関に立っていたが、仕方なく靴を脱いで上がった。
そのまま無言で脱いだ上着を受け取り、そこにあるパイプハンガーにかる。
「ネクタイ外して」
自分でやれと言いたくなるが、眠そうに欠伸をしている姿をなぜか放っておけない。
私は前に座って、ネクタイを緩める。
「ねぇ」
不意に彼の右手が──私の手を掴んだ。
「何で止めたいの?俺のこと、嫌い?」
真っ直ぐに私を見つめる瞳。
思わず振り払って逃げたくなるのを、ぐっとこらえる。
「………だって、あなたは課ちょ…」
「違うと言っただろ?」
反対の手で、私の口を塞ぐ。