恋人未満のこじらせ愛

また月曜日がやってくる。

パンとコーヒーのいつも通りの朝食を流し込んで、会社へと向かう。
何となく智也さん…いや、課長と顔を合わせたくないけど、そんなことは言ってられない。


いつも通り出勤してメールチェックをしていると「おはよー菅原ちゃん」と声がする。
六島さんだ。

「おはよう、暑いね」
「ほんっっとに九月なのって言いたくなるわね」

笑顔を浮かべて席に座る六島さん。

同期とは不思議なもので、何となく苦手意識があった彼女とも一週間で随分打ち解けた。
彼女はどんな人でも会話を続かせることができるし、どんな人でも楽しく会話を楽しめる。

ただ……彼氏は居ないらしい…。


六島さんが「日曜日のテレビでやってた店がさぁー」と週末のテレビ番組の話をしていると、課長と石見君が話しながら出勤してくる。
私は簡単に「おはようございます」とだけ言って、六島さんとの会話に戻っていった。


その日の朝礼では、石見君の移動が発表になった。
「元々マーケティング部に出入りしていたこともあり…」と言っていたし、徐々に浸透していってた為か驚いている人はさほど居なかった。

今週から、徐々に石見君は居なくなる。
たかが一週間隣に居ただけだけど、やっぱり寂しい気持ちは大きいなと思ったり。
< 58 / 170 >

この作品をシェア

pagetop