恋人未満のこじらせ愛
エレベーターが到着し、経理部のある十五階へと私達を運んでいく。

「菅原さん、どこの部署がいい?」

「うーん………あんまり想像つかないんですよねえ……」

「まあそうだよね。私も菅原さんが居なくなるのは、まだ想像できないよ」

そう言って私に微笑む佐々木さん。
少しだけ気を遣ってもらってるみたいで、なんだか悪い。



十五階に到着して受付を抜けると、なにやらザワザワと騒がしく、掲示板に人だかりができている。
もう部署移動が発表されているらしい。


私は「ちょっと行ってきます」と間を縫う様に、するりするりと人だかりをすり抜ける。
そして張り出してある掲示物に、目を向ける。


上から順を追い、私の名前を探す。


あった四行目。『菅原 理緒  経理部』の名前の隣に書かれている部署名は…


「え……」


叫びそうになった声を押し殺す。

まさか……!?何で?!


動揺する私の肩を、誰かが引き寄せる。
そして耳元で、こう囁いた。


「ほら、勝手に帰るからだ」と。
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