恋人未満のこじらせ愛
また二、三階のエリアには『流行』よりも『実用性』重視の生活雑貨の店や、雰囲気よりもお値段重視の飲食店が多く入っている。

スーパーマーケット+αを目指しているんだと言っていて、まさに気取らずにふらっと立ち寄れる『生活に溶け込んだ』施設になっている。


正直…他の施設との企業格差を感じるのは気のせいではない気はしているが。
うちもわりと大手の方とは言え、まだまだ大企業には敵わない。


私達は正面の入り口ではなく、裏口の警備員の居る場所から中に入る。
名前を書いて入館すると、まさに『バックヤード』という光景。

迷いなく歩く課長に着いて行くと、とある場所からチカチカした光が漏れている。
どうやらここで撮影をしているらしい。

課長がノックをして「お疲れ様です」と入ると、五人ぐらいの人たちがそこに居た。

「大村さん、お疲れ様です」
近寄って来たのは、少し年上っぽい男性。

「お疲れ様です。早速ですが、今回からこの広報のメンバーに入った菅原です」

「よろしくお願いします」と頭を下げて名刺を差し出すと「こちらこそ」と言って相手も名刺を出してくる。
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