むかしばなし
ー彩雲市成人式 式場ー



私は着慣れない振袖を身にまとい、会場に足を踏み入れた。

「ひーなーつっ‼」

1番最初に声をかけてきたのは中学校時代の同級生の胡実だった。

「わーっ!胡実じゃん‼久しぶり〜元気だった?」

「私は元気にやってるよ〜って、そんなことより!
雛夏、彼氏は?どうなの、いるのっ??」

「独り身歴20年ですが何か」

私は頬を膨らませた。
すると胡実は焦った様子で

「冗談だって、ごめんって‼」

と言ったので私は思わず吹き出してしまった。

「そういえば、1‐1のメンバーは?みんな来てる?」

私は少し話を変えてそう聞いた。

胡実とは彩雲第2中1年生の時に同じクラスになり
仲良くなった。

「うん、結構集まってるみたいだね…例えば雛夏が好きだった
静山心路とか、陽向とか癒彩ちゃんとか翔とか‼」

「なんで静山を強調すんのよっ」

「だってーまだ好きなのかなーって思ったりして??
数年越しの恋、みたいな??実際どーなのっ?」

胡実が意地悪っぽい笑みを浮かべる。

「胡実の天然小悪魔ちゃんめっ!でも実は…
静山に会えるの1番楽しみにしてた。で、胡実は2番目ーっ」

すると胡実が、

「あーっ、しずやまぁー?ちょっときてーっ‼」

「ちょっと胡実なにしてんの恥ずかしいってば!」

____ん、何?

聞き覚えのある優しい声がして振り向く。


「静…山……?」

「城田………!」

「あっ、ほ、ほかの友達に呼ばれちゃったぁー!
ごめんね雛夏、行ってくるねーっ」

胡実、後で覚えてろよーって叫びかけたけど
今私の目の前には好きだった、大好きだった静山がいる。

「なんか、ごめんね?胡実が勝手に呼んじゃって。」

「全然気にしてないし、、むしろ久しぶりに会えて嬉しい。
あのー、あっちのベンチでゆっくり話さない?」

急な展開。胸がドキドキした。
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