三途の川のお茶屋さん





「……幸子、……幸子」

翌朝は十夜に肩を揺り動かされて目覚めた。

「ん? ……十夜?」

「幸子、昨日は俺に付き合わせて寝不足にさせてすまなかったな」

……っ!!
弾かれたようにガバッと身を起こした。同時に昨夜の記憶も鮮明に蘇った。

「い、いえ!」

あまりの羞恥で私は顔から火が出そうだが、対する十夜は既に着替えも済ませてすっかり平常運転に戻っていた。

「俺がコーヒーを淹れておくから、幸子は着替えてくるといい」
「ねぇ十夜――」

「幸子、もういい時間だ。起きて、お茶屋を開けに行かねばならんぞ」



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