三途の川のお茶屋さん


***


幸子の母親が訪れたあの日は、管理報告で天界にあがる予定になっていた。

けれど俺は、幸子と共に茶屋に残る事を選んだ。

それに対しては、欠片も後悔などしていない。けれど、もしかすれば近々に呼び出される事もあるかもしれないと予想はしていた。

ところが数日が経っても俺への呼び出しはなく、この上はもう何のお咎めもないのだろうと思い直していた。

ところが今日になって、管理者の統括役である仁王様から呼び出しが掛かった。

呼び出しは予想通りの事でもあり、それ自体はなんら特別なものではない。

しかしこのタイミングでの呼び出しというのはいささか腑に落ちず、向かう道中から嫌な予感がしていた。

違和感を抱えながらも、今更引き返す事も出来ず、俺は面談の席に向かった。そうして面談の席、俺を待ち構える人物を目にした瞬間、本気で三途の川に取って返そうかと思った。

何故、俺との面談の場に神威様が出てこられる!?



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