三途の川のお茶屋さん
いつもよりも嵩の少ない風呂敷包を持ち上げて、十夜が眉を下げる。
「すいません。今日は予想外にお客さんが多くって、完売しちゃいました」
「そうか。そういえば船も定員いっぱいだったか」
声のトーンが明らかに下がる。
十夜は私の作る団子が好きだ。団子の残りはいつも、全て十夜の胃袋に収まって、私の口には入らない。
「明日の分は多めに仕込みましたから」
「ならば俺は、きな粉とあんこ、両方だぞ」
「はい、分かりました」
「ふむっ」
十夜の弾んだ声に、頬が緩んだ。