三途の川のお茶屋さん
懸人の背中を見るともなしに見ながら、ふと、思い至った。
船頭とはその名の通り、船の定期運航をするのが仕事だが、何かを管理したり、そういった責は負っていない。
船頭はただ、船を漕ぐのみ。
不測の事態にあたっての判断全ては俺の役目だった。
元々、船頭という職務は神々のヒエラルキーには属さない。船頭という役職者は、神にあらず。歴代の船頭たちは使徒が担うケースがほとんどだった。
俺が赴任した時、懸人は既に船頭を務めていた。当たり前のように懸人も使徒であると受け入れていたが……。
今更に疑問が過ぎる。
懸人は果たして、使徒なのか?
もちろん、これまで直接懸人本人に問うた事は無い。