三途の川のお茶屋さん
第四章
1
紛う事無く、運命の恋だった。
唯一の愛を誓った、運命の人だった。
なのに私の心の中、日増しに十夜への想いが膨らむ。
十夜への愛、それ自体は清らかで、とても温かな想い。
けれど悟志さんを愛しながら、十夜への愛に思い悩む私は、不実で浅ましい……。
悟志さんへの一途な愛を貫きたいのに、その思いとは裏腹に十夜への愛ばかりが大きくなって、悟志さんとの愛の記憶を霞ませる。
あと、十年――。
今ならば、出会った日に十夜が語った、三十年の重みが分かる。
あと十年、果たして私は心の均衡を保てるだろうか――?