三途の川のお茶屋さん
第四章





紛う事無く、運命の恋だった。

唯一の愛を誓った、運命の人だった。

なのに私の心の中、日増しに十夜への想いが膨らむ。


十夜への愛、それ自体は清らかで、とても温かな想い。

けれど悟志さんを愛しながら、十夜への愛に思い悩む私は、不実で浅ましい……。


悟志さんへの一途な愛を貫きたいのに、その思いとは裏腹に十夜への愛ばかりが大きくなって、悟志さんとの愛の記憶を霞ませる。


あと、十年――。

今ならば、出会った日に十夜が語った、三十年の重みが分かる。

あと十年、果たして私は心の均衡を保てるだろうか――?





< 156 / 329 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop