三途の川のお茶屋さん


その日、『ほほえみ茶屋』はお客様で溢れ返っていた。

ただしこの盛況は、季節の変わり目とかそういうのじゃない。

「お姉さん、お団子まだ?」
「ちょっと、こっちが先だぞ?」

「おーい、お茶はまだかね?」
「すいません、ただいま!」

過去にも幾度か経験している。……団体のお客様は、何か大きな災害や事故の被害者だ。

「ごめんください……って、まぁ~、随分と混んでいるんですね?」
「申し訳ありません。順番にご案内していますので、少しお待ちください」

そこに通常のお客様までもが加わって、店内は大わらわだ。

とてもじゃないが、一人では手が回りきらなかった。

私は考えた末、この日に限ってはセルフスタイルを採用した。






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