三途の川のお茶屋さん
「いえ。この女性は妻、ではないように思います。妻は別にいて……けれど、この女性がとても大切な女性だったのは確かだと思います」
「なんやてぇえ!? アンタ女房がありながら、コッソコッソ後生大事に違う女の遺骨やら写真やら肌身離さず持ってぇ! そら奥さん知ったら大怒りやわ!」
おばさんが語る生前の男性の状況に、ざわざわと胸が騒ぐ。
悟志さんはいまだ、妻子と共に現世に生きている。だから男性は、悟志さんではあり得ない。
それでも男性の境遇は、どうしたって悟志さんを思い出させた。
もしかすると男性は、早世した女性への想いを引き摺りながら、別の女性と家庭を持ったのだろうか……。