三途の川のお茶屋さん


「……どこでやろ?? アカンわ、思い出されへん」

見も知らぬ誰かの言葉。けれど、身につまされる言葉……!

私の心は、ふわふわと高揚していた。

「ねぇお姉さん、あんこのお団子がないんだけど?」

けれど、お客様の声が私を現実に引き戻す。

「! あ、申し訳ありません! 今日はもう、出ている物が最後なんです!」
「え~、そうなの。んじゃま、きな粉でいいや」
「すいません」
「あ、それからこれ一杯になってたから」

差し出されたお盆一杯の使用済みの湯呑みを、慌てて受け取る。

「すいません! ありがとうございます!」

現実に舞い戻れば状況は待ったなしで、この後は物思いに悩む間もなかった。



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