三途の川のお茶屋さん
私は懸人さんに頭を下げ、放って出てきてしまった『ほほえみ茶屋』に取って返した。
「さ、幸子さんっ」
懸人さんには取り繕ってみせた。けれど『ほほえみ茶屋』に戻る私の胸には、疑念ばかりがひしめいていた。
私は頭を振りかぶり、それら全てに蓋をした。
……だってそう、私は他でもない閻魔帳に書かれた悟志さんの寿命を知っているのだ。
「アンタ!! ちゃんと会えたんか!?」
『ほほえみ茶屋』に戻る道すがらで、埠頭に向かうおばさんと行き会った。おばさんは私に気付くと、駆け寄ってきた。
「それが、どうやら人違いだったみたいです」
天界で嘘は禁忌。だけどこれは嘘じゃない。