三途の川のお茶屋さん
だけど『ほほえみ茶屋』の繁忙は、必ずしもそれに該当しない。
多くのお客様を送り出した後は、どうしても胸に寂寥感が募る。不慮の事故や災害で、志半ばで生を断たれた多くの魂を思えばやりきれなかった。
私は窓の外、沈みゆく夕日に視線をやった。
夕暮れ時は一般的に、あの世とこの世が交わると認識されている。三途の川に暮らし、現実的にそんな事象がない事を、私は既に知っている。
けれどやはり黄昏時に、一抹の寂しさが過ぎるのは、亡者らの念がそうさせているのだと思わずにはいられない。
事実、多くを見送った今日の夕日は、ひどく目に眩しくて、心の奥が締め付けられる。
沈みゆく夕日に向かい、私は静かに黙とうした。