三途の川のお茶屋さん
弔いが、死者の魂に彩を添えると聞かされた。ならば私に出来るのは、精一杯の祈りを添えて見送る事だ。
「十夜、申し訳ないですがこの流れだと明日も多くのお客様がいらっしゃると思います。なので団子の仕込みも多めにします。よかったら……」
「よし、明日の仕込みは俺も手伝おう」
! 私が最後まで言いきる前、十夜はサッサと厨房に回ると団子粉に手を伸ばす。
本当は、よかったら先に帰って休んでくれと、私はそう続けるつもりだった。
「幸子、すまんが俺は作り方が分からん。指示をくれないか?」
「は、はいっ!」
私は敢えて、十夜に甘える事にした。
日は沈む。けれど翌朝、また新たな日の出を迎える。
断ち切られた死は絶望じゃない。新たな生へのスタートラインだ。
死者の魂が少しでも明るく輝けるスタートを切れるように、祈りと共に団子粉を捏ねた。
団体のお客様はそれから数日間、途切れる事が無かった。